花祭りはお釈迦様の誕生日をお祝いする行事、子供の幼稚園では何があるの?

4月8日は花祭り。
お釈迦様の誕生をお祝いする日です。
寺院の他、仏教系幼稚園や保育園でも、お釈迦様の幼仏像の周りをたくさんの花で飾って甘茶を注ぐ、華やかなお祭りが行われます。
江戸時代までの花祭りは、国民的な行事でしたが、今は率先して行事を遂行している寺院は少ないようです。
かろうじて仏教系の幼稚園や保育園が、子供たちとお祝いをするくらいマイナーなものになってしまいました。
甘茶を仏像にかけ、甘茶をいただくという行事ですが、初めて参加される方も多いでしょう。
お子さんの幼稚園で花祭りがある方の事前学習のために、どんなことをするのか、どんな準備が必要なのかを、花祭りの由来とともに解説していきます。
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目次
花祭りはお釈迦様の誕生日のお祝い、幼稚園ではどんなことをするの?
花祭りは、簡単に言ってしまえば、お釈迦様の仏像に甘茶をかける行事です。
ですが、そのひとつひとつに言い伝えがあり、たくさんの花にかこまれたお堂や、きらびやかな稚児行列などは、きっと子供たちを感動させるでしょう。
甘茶を飲んだり、甘茶でお習字をしたりと、とても和やかな行事です。
堅苦しく考えずに、参加してみてくださいね。
花御堂
花祭りのために造られる、花で飾られた小さなお堂です。
お釈迦様が生まれたルンビニ園という林苑は花々が咲き、天上の花が飾られていたという情景を表現しています。
子供たちがこの花の飾りつけをお手伝いすることもあるそうです。
甘茶をかける
花御堂の中には、甘茶を満たした桶があり、そこに安置された仏像に、柄杓を使って甘茶をかけます。
お釈迦様が生まれた時に、9匹の龍が甘露の雨を降らせて産湯にしたという伝説をなぞらえたものです。
奈良時代には五色水という香水をかけていました。
甘茶をかけるようになったのは、江戸時代からだと言われています。
合掌して柄杓をとり、「南無釈迦牟尼佛(ナムシャカムニブツ)」と唱えながら、桶の中の甘茶を仏像にかけます。
甘茶を飲む
子供たちだけでなく、参拝客にも甘茶がふるまわれます。
甘茶は、ユキノシタ科ガクアジサイの変種である小甘茶の葉を蒸して発酵させたものです。
砂糖の100倍も甘いとされていますが、自然の甘みなので飲みやすいようですよ。
美容と健康にもいい生薬なので、無病息災を祈りながらいただきましょう。
また、甘茶ですった墨で「千早振る卯月八日は吉日よ、神下げ虫を成敗ぞする」と書いた紙を門にさかさまにして貼ると、虫よけのおまじないになるそうです。
幼稚園や保育園によっては、お習字をすることもあります。
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花祭りのうた
イエスさまの誕生日であるクリスマスに、クリスマスソングがあるように、お釈迦様の誕生日にも、いくつかの歌があります。
その中で、幼稚園でよく歌われる「こどもの花祭り」を、動画で紹介します。
出典:YouTube
- おはなあげましょささげましょ
きょうは子供の花まつり
にこにこ元気なおしゃかさま
みんなでおいわいいたしましょう - あまちゃあげましょささげましょ
きょうは子供の花まつり
ちらちらレンゲの花がふる
みんなでおいわいいたしましょう
準備するもの
花御堂を飾る花のために、各家庭から1~2本「お花のご協力」をお願いされるかもしれません。
春ですので、カーネーション、ストック、菜の花などのかわいらしい切り花を用意しましょう。
家に咲いているチューリップやキンセンカでもいいですね。
お釈迦様へのお供えです。
仏花である菊を持たせないように気をつけてください。
トゲのあるバラもいけません。
匂いのきついものも避けましょう。
丁度桜の咲く季節です。
桜や藤などで、華やかに飾られた見ごたえのある花御堂に出会えるかもしれません。
余談ですが、お金をお供えする時の表書きは「お布施」か「御供」です。
そもそも花祭りとはどのような行事なの?
2,500年前にお釈迦様が生まれました。
誕生の地、ネパール地方にあるルンビニ園には、多くの花が咲き、神々が天上の花を飾って祝いました。
龍王が、冷水とお湯で産湯に浸からせ、天上人が花と雨を降らせ、生まれたばかりのお釈迦様が立ちあがって歩くと、大地が割れてレンゲが咲いたとされています。
このように、花で彩られたお釈迦様の誕生日をお祝いするのが「花祭り」です。
元々は、甘茶をそそぐ習慣から「灌仏会」と呼ばれていました。
その他にも「降誕会」「仏生会」「仏浴会」「龍華会」「花会式」などの呼び方があります。
「花祭り」という名称は、明治の頃に暦が変わったことで、4月8日が仏会と決まり、丁度桜が満開になる季節だったので、浄土宗で言われるようになった言葉です。
以来、宗派を超えて「花祭り」が「灌仏会」の代名詞になっていったのです。
お釈迦様は、生まれてすぐに立ちあがって7歩歩き、右手で天を、左手で地を差し「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と宣言されたという伝説があります。
花御堂に安置されたお釈迦様の象は、この時のお姿です。
現代で「唯我独尊」は「傍若無人」に捉えられる言葉として誤解されていますが、お釈迦様が「自分が一番偉い」と言ったわけではありません。
「天上天下唯我独尊 三界皆苦我当救之」
これは「人は誰でもこの世に一人だけであって、何者にも変えられない尊い存在である。わたしは苦しむ人々を救うことを第一としよう」という宣言です。
花まつりは、甘茶を注ぎながらお釈迦様降誕の情景に触れ、お祝いをすると同時に、お釈迦様の慈悲と、かけがえのない命をいただいたことを感謝する日でもあるのです。
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主にどこでやっているの?
花祭りは仏教の法要ではありますが、様々なイベントとして各地で行われています。
曹洞宗寺院だけでなく、多くの仏教寺院や、神社での舞の奉納、お茶会、琴や雅楽の演奏などもあります。
浅草の浅草寺では、子供たちが白い象をひいて参拝します。
築地本願寺では、屋台も出て賑やかに花祭りが行われます。
仏教と言うと、堅苦しく考えがちですが、花祭りは、子供たちを中心にほのぼのと催される、親しみやすい行事です。
近くの仏教系幼稚園などに足を運んで、甘茶のお接待を受けるのも、仏教に触れるいい機会だと思います。
以下、全日本仏教会のサイトでは、全国の花祭りを行う寺院を紹介されていますので、参考にされてください。
参考サイト:http://www.jbf.ne.jp/special/hanamatsuri.html
まとめ
花祭りの行事と由来、準備について、解説しました。
クリスマスはイエスさまの誕生日。
花まつりはお釈迦様の誕生日。
クリスマスに比べて超マイナーな花まつりには、プレゼントもなければ、美味しいケーキもありません。
花祭りに触れた子供たちに、どの子も尊いのだと伝える行事です。
商業ベースとしては地味かもしれませんが、命の誕生を粛々と祝う花祭りには、派手さは必要ないのかなとも思います。
お祭り騒ぎではなく、たった一つのかけがえのない命だと教えてくれた感謝を捧げながら、色とりどりの花々に癒される。
そんな誕生会こそ、忙しい現代人に必要なのかもしれませんね。
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